政府は、病院や介護施設の職員の賃上げや、高騰する食費や燃料費、委託費などを支援
するための補助金を2025年度補正予算案に盛り込む方針を固めました。今国会で成立する
方向です。物価高で悪化している医療・介護分野の経営環境の改善や、全国でのサービス
提供体制を維持する目的があります。また業務の効率化の推進もいわれています。
医療や介護などのサービスの価格は、国が診療報酬や介護報酬として決定するため、施
設側が物価や賃金の上昇に応じて自由に値上げできない事情があります。厚生労働省によ
ると、24年度決算(速報値)で赤字となった民間病院は全国で49・4%(前年度比7・9ポイ
ント増)に上ります。25年度の最低賃金(時給)が全国平均で過去最高となる中、医療・
介護の業種では、他業種と比べ、賃上げが進んでいないとの声も多く聞かれます。
こうした状況に、首相は26年度の診療報酬などの改定前に対処する考えを示してきまし
た。11月5日の衆院本会議での代表質問でも、首相は「改定を待たず経営の改善や職員の
処遇改善につながる措置を講じるなど、スピード感をもって対応する」と強調しています
。
補正予算で検討する医療・介護分野の主な支援策
*職員の処遇改善
・他業種の傾向を踏まえ、医療・介護職員のさらなる賃上げを後押し
*経営改善
・診療・介護に必要な食費や燃料費など資材、医療事務や検査など委託費の高騰に対応
・救急医療・周産期医療体制の継続のための施設整備
・出産や妊婦健診、小児医療の維持が困難な地域の医療機関への支援
*効率化
・需要を上回る病床の削減の推進
・見守りセンサーなど情報通信技術(ICT)導入や、「タスクシフト・シェア」による
業務効率化
今後の動向に着目する必要があると思われます。
令和7年11月6日 読売新聞オンラインより一部抜粋
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20251106-OYT1T50006/
