健康保険組合連合会からの発表によると、全国約1400の健康保険組合の2024年度の経常
収支は合計で145億円の黒字でした。高齢者医療への拠出金など支出の増加を保険料の引き
上げなどでかろうじて、補填している状況となっています。個別にみると半数近くの組合
は赤字であり、4分の1近くは保険料率が「解散ライン」とされる10%以上になっており、
危険な状態となっていました。
健保は賃金の一定割合を天引きする保険料で加入者の医療費をまかないます。保険料収
入は9兆1444億円と前年度から4.9%伸びました。これは、賃上げに伴う2277億円分増加と
なっています。保険料率は平均で9.31%と0.04%上昇し、金額にすると1069億円分で、こ
の引き上げがなければ黒字は確保できていなかった計算になります。
支出は加入者分の医療費だけでなく、65歳以上の高齢者医療向けの拠出金が膨らんでい
ます。拠出金は5.7%増えて過去最大の3兆8591億円となりました。25年度の保険料率は平
均で9.34%とさらに上がる見込みで、高齢者医療を支える現役世代の負担は一段と重くな
っていきます。
健保組合は主に大企業の従業員や家族が加入し、保険料は労使が折半します。料率10%
が解散危機の目安といわれています。この水準を上回れば、企業ごとに自前で健保組合を
運営する利点が薄れるため、主に中小企業の従業員や家族が入る全国健康保険協会(協会
けんぽ)に移行した方が労使の負担が軽くなるといわれています。
24年度に保険料率が10%以上だったのは334組合で、過去最多になりました。厚生労働
省によると23年3月末時点で健保組合に2820万人、協会けんぽに3944万人、公務員らの共
済組合に982万人が加入しています。自営業者や年金生活者らは市町村などが運営する国
民健康保険(国保)に加入し75歳以上は後期高齢者医療制度に移ります。
今後の保険料率に注目していく必要があると思われます。
日本経済新聞HP 2025年9月25日より抜粋
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA247LJ0U5A920C2000000/