~会長ご挨拶~ 鈴木俊一 衆議院議員(岩手2区・自民党幹事長)
令和7年11月26日(水)、自由民主党本部ホールにおいて、「リハビリテーションを考える議員連盟」(会長:鈴木俊一 衆議院議員)第12回総会が開催されました。鈴木俊一会長の挨拶から始まった本総会は、現時点で180名の国会議員からなる大きな議連となり、国民の健康にとってリハビリテーション専門職(3療法士)が担う重要性が広く認識されていることが示されました。
総会において、理学療法士の小川かつみ参議院議員が事務局長に任命され司会進行をされました。
日本理学療法士協会 斉藤秀之 会長
日本理学療法士協会 佐々木嘉光 副会長
日本作業療法士協会 山本伸一 会長
日本言語聴覚士協会 内山量史 会長
総会は、国会議員が代理も含めて約100名、3療法士も全国より約80名が出席する中、日本理学療法士協会(斉藤秀之会長)、日本作業療法士協会(山本伸一会長)、日本言語聴覚士協会(内山量史会長)の3団体より、現在の深刻な危機的状況と要望事項を説明しました。活発な質疑応答の後、リハビリテーション専門職の処遇改善と政策推進を強く求める「決議案」が採択されました。
新政権が掲げる「攻めの予防医療」と、2040年に向けた医療・介護の複合ニーズの加速に対応するため、良質かつ効率的なリハビリテーションの提供体制を確立すべく、令和7年度補正予算及び令和8年度予算において大規模な予算を確保し、下記の事項を推進することが決議されました。
物価高騰に対応した持続的な賃上げと処遇改善
物価高騰と他産業との賃金格差が深刻化し、優秀な人材の流出を防ぐため、大規模で抜本的な対応が急務であることが強調されました。
【現状と要望の根拠】 3団体による処遇改善調査の結果、ベースアップ政策が2年経っても、医療機関の25.9%、介護施設の39.6%、障害福祉施設の41.1%でベースアップが実施されていないという厳しい実態が示されました。この状況は、多額の学費(奨学金を含む)をかけて資格を取得した若手療法士が、30代を前に他職種へ流出する深刻な事態を招いています。
【決議された要求事項の主要ポイント】
• 賃上げの財源は「真水」による抜本的な対応を行うこと。
• 令和7年度補正予算において、3療法士1人当たり月2万円(約960億円)の補助金を支給する措置を確実なものとすること。特に、補助金がベースアップ評価取得を要件とせず、現場の療法士の皆様に必ず行き届く仕組みを実現することが強く要望されました。
• 令和8年度報酬改定において、物価上昇を上回る12%以上の賃上げを実施すること。
• 長期的な目標として、今後10年で3療法士の給与を倍増すること。
厚生労働省からは、報酬改定の時期を待たず、補正予算等でスピード感を持って対応し、補助金が確実に現場に届くよう現在調整を進めているとの説明がありました。
20年間変わらない診療報酬の基本報酬体系の抜本的な見直し
リハビリテーション専門職の技術料を正当に評価するため、20年間据え置かれている診療報酬の基本報酬体系の構造的な見直しが強く求められました。
• 「疾患別リハビリテーション1単位あたりの点数アップ(10%程度の引き上げ)」を実施すること。これは、技術料が据え置かれることで生じる、経営者が給与を上げられない構造的課題を解決し、全産業平均年収に近づく賃上げを可能とするためです。
• 認定・専門療法士の専門性を適切に評価し、適切な報酬を得られるよう検討すること。
総会では、リハビリテーションは医療費削減や社会復帰に貢献しているにもかかわらず、基本点数(205点)が長年変わらないのは問題であり、積算方法を含めた抜本的な見直しが必要であるとの議員からの指摘が相次ぎました。
訪問サービス提供体制の再構築と基盤強化
訪問リハビリテーションは、地域包括ケアシステム推進に不可欠であり、退院直後からの早期リハビリ開始は医療費削減や要介護度悪化抑制に繋がります。しかし、現在、市町村の約4割で訪問リハ事業所がゼロという地域偏在が問題となっています。
• 平時においても、退院直後からの早期訪問リハの提供体制を強化し、地域の医療資源不足に対応するための制度的・財政的支援を行うこと。
予防・公衆衛生に資する3療法士の活用(資格法改正の検討)
新政権の「攻めの予防医療」を推進するためには、予防・公衆衛生領域での3療法士の活動が必要不可欠です。
• 制定から約60年が経過し、一度も改正されていない理学療法士及び作業療法士法について、法改正に向けた検討会を設置し、公衆衛生領域での業務を法律上に明記すること。
• 厚生労働省の健康・生活衛生局へ3療法士を配置し、予防政策推進体制を強化すること。
• 地域包括支援センターへの3療法士の配置を強化するための財源の確保と共に自治体への啓発を行うこと。
リハビリテーション政策推進体制の強化
リハビリテーションは多くの行政分野にまたがるため、専門的知見に基づき一体的・横断的な施策推進を行うため、厚生労働省に「リハビリテーション課」を設置することが求められました。それに先立ち「今後のリハビリテーション専門職の在り方検討会(仮称)」の早急な設置が求められました。
総会での決意
総会では、3療法士が医療、介護、障害福祉分野で重要な役割を果たし、患者の生活の質(QOL)向上と社会参加の促進に不可欠な存在であるとの認識が共有されました。国会議員からは、「手に届く処遇改善」を実現するために、総力を挙げて政府へ働きかけるとの力強い挨拶があり、決議案は満場一致で採択されました。
今回の決議の実現に向け、政府及び関係省庁に対する要望活動を直ちに開始することが報告されました。当連盟も国民の健康と、理学療法士が誇りを持って働ける環境整備のため、皆様と共に尽力してまいります。
~決議~ 国光あやの 衆議院議員(茨城6区)
~閉会~ 堀内詔子 衆議院議員(山梨2区)
リハビリテーションを考える議員連盟 決議
質疑応答にてご発言された国会議員
中村裕之 衆議院議員(北海道4区)
生稲晃子 参議院議員(全国比例区)
田所嘉徳 衆議院議員(北関東比例代表区)
坂本哲志 衆議院議員(熊本3区)
上月良祐 参議院議員(茨城選挙区)
滝波宏文 参議院議員(石川選挙区)
櫻井充 参議院議員(宮城選挙区)
田畑裕明 衆議院議員(富山1区)
舟橋利実 参議院議員(北海道選挙区)
自見はなこ 参議院議員(全国比例区)
山本佐知子 参議院議員(三重選挙区)

