日頃より、理学療法士連盟の活動にご理解とご支援をいただき心より感謝申し上げます。
理学療法士連盟としましては、現在まで理学療法士の地位向上および日本理学療法士協会・都道府県士会が掲げる政策実現のために、地道な政治、選挙活動をして参りました。これまでの理学療法士連盟活動による主な政治、選挙活動成果についてまとめましたのでご一読いただき、理学療法士連盟の必要性についてご理解いただけますと幸いです。
- 予防分野での職域確保
- 高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施
- 訪問看護ステーションの人員配置
- 理学療法士の処遇改善について(給与アップ)
- 自民党 厚生労働部会下に「リハビリテーションに関する小委員会」設置について検討
- 職域団体設立都道府県でのヒアリング
- 診療報酬・介護報酬決定過程への関わりがより深くなる。
- 2020東京オリンピック・パラリンピックでの理学療法士の関わり
①予防分野での職域確保
平成25年11月 厚生労働省 医政局医事課長名で「介護予防事業等において、身体に障害のない者に対して、理学療法士の名称使用を可能とする」との通知が出されました。この通知により理学療法士の職域が拡大したことになります。
この通知が出た背景としては、当時、チーム医療推進方策検討WGに所属していた小川克巳氏が厚生労働省、医師会との調整を行い実現したものです。また、日本理学療法士連盟が支援した組織代表が、直前の7月の参議院選挙において与党に近い政党で当選したことも影響していると考えます。
②高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施
令和元年10月に提出された実施案には『理学療法士』の名称が記載されていませんでしたが、翌年2月に行われた、自民党の「リハビリテーションを考える議員連盟」の総会で「理学療法士がこの事業実施には必要な職種だ」と厚生労働省の担当課長に訴えていただいた結果、3月発表の実施案には『理学療法士、作業療法士、言語聴覚士』が明記されました。明記されたことで確実にこの事業に関わることができるようになりました。
※「リハビリテーションを考える議員連盟」は、理学療法士連盟が支援した議員が所属している団体です。
③訪問看護ステーション人員配置について
体制強化加算の要件に看護師6割以上の要望案を見送りへ
令和元年11月の社会保障審議会 介護給付費分科会において「看護師6割以上とした訪問看護ステーションに体制強化加算を設定する」との人員配置基準案が出ましたが、19万筆の署名を添えた3協会合同(PT・OT・ST)での声明およびリハビリテーションを考える議員連盟の役員会での意見を、厚生労働省に提出した結果、最終的にこの人員配置基準は見送りとなりました。
もしこの人員配置基準案が承認されていれば、5000名のリハ専門職が解雇となり、8万名の訪問リハ難民が生まれていたことになります。
④理学療法士の処遇改善について(賃金引上げ)
今年11月19日に新型コロナ医療に携わる看護師の賃金の引き上げが閣議決定されました。他に引き上げの対象職種として『理学療法士・作業療法士等のコメディカル』が明記されました。
あらゆる医療系職種が引き上げ要求をしている中、理学療法士が記載されたことは、理学療法士連盟が、自民党総裁選でいち早く岸田文雄氏の支援を表明したこと、衆議院議員選挙で約200名の候補者を支援したことが大きく影響しています。また岸田総理周辺の主要議員に理学療法士の処遇が悪いことを認識していただいたこともその理由のひとつですが、これは広島県理学療法士連盟が岸田総理との関係を深めてきた結果と言えます。
⑤自民党 厚生労働部会下に「リハビリテーションに関する小委員会」設置について小川議員に相談
牧原秀樹衆議員が自民党の厚労部会の部会長に就任し、部会長の権限で設置できる小委員会として「リハビリテーションに関する小委員会」を設置してはどうかと小川克巳参議員にご相談がありました。この小委員会が設置されれば、半年にわたって理学療法士に関する論議を行いますので、理学療法士の将来に大きな良い影響が出ることが期待できます。
牧原議員はこれまで埼玉県理学療法士連盟が力を入れて支援してきた議員ですし、その労力と気持ちに応えようとする牧原議員の思いが伝わってきます。
⑥自民党県連の職域支部でのヒアリング
自民党の都道府県支部連合会(いわゆる県連)に「理学療法士の職域支部」を設立している県が27県あります。職域支部を持っていると、毎年、要望をヒアリングしてもらえます。職域支部がなくても、特別にヒアリングの機会を設けてもらえる県もあります。ヒアリングにより都道府県士会が掲げる政策の実現に大きく近づくと思います。実現すれば、各地方自治体での理学療法士の活躍が期待できます。
今回の衆議院選挙で一部の公明党議員を支援しましたが、その功績が認められ、理学療法士が公明党のヒアリング団体のひとつに加えられることになりました。
⑦診療報酬・介護報酬決定過程への関わりがより深くなる
与党に組織代表議員がいることで厚生労働省との意見交換が行いやすくなり、中央社会保険医療協議会(中医協)の専門委員に理学療法士が就任することができました。
このことにより診療報酬・介護報酬決定過程に関与できるようになり、国民および理学療法士に不利益な政策・改定案、診療・介護報酬改定において大きな不利益が生じにくくなったと言えます。
⑧2020東京オリンピック、パラリンピックでの理学療法士の活用について
2020東京オリンピック・パラリンピックのメディカルサポートについては、当初、柔道整復師の名称が上がっていましたが、当時のオリンピック・パラリンピック担当大臣の鈴木俊一衆議員が「理学療法士を使うように」と発言してくださったお陰で理学療法士がオリパラのメディカルサポートを担う職種のひとつになりました。
鈴木俊一議員は現在「リハビリテーションを考える議員連盟」の会長であり、我々のために活動をしてくださっています。これは岩手県理学療法士連盟が鈴木俊一議員との関係を深めてきていただいたことが影響しています。
ご覧いただいたように理学療法士連盟の活動により、複数の大きな成果を出すことができました。このような成果が出せたのはもちろん日本理学療法士連盟・各都道府県理学療法士連盟の地道な活動によるところは大きいですが、我々の組織代表が国政に存在していること、与党に在籍していることも後押しになっています。
ご存じの通り、我々の職場である、医療・福祉の世界は政治によって決められることがほとんどですので、他の医療職団体も議員擁立・選挙支援・要望書提出など我々と同様の活動をしています。ここ最近は成果を出せましたが、他の医療職団体はそれを苦々しく思っているおり、水面下で力を蓄えているはずです。いつ逆転されも、いつ危機的な状況になってもおかしくない状況にあります。そうならないよう、理学療法士連盟は、より組織強化をしていかなければなりません。「組織代表を国政に送る」「我々に理解を示してくれる議員を支援する」つまり、『理学療法士の一人ひとりが政治に参画していかなければならない』ということです。
国民のため、理学療法士の地位向上のための政策が実現できるよう、今後とも理学療法士連盟活動へのご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。
日本理学療法士連盟