令和6年6月からの「診療報酬改定」について

6月から診療報酬改定で医療従事者の賃上げの原資にすべく、初·再診料·入院基本料が引き上げられます。

医療サービスの公定価格「診療報酬」が6月1日より改定され、このことにより患者さんの窓口負担が増加されることになりました。診療報酬は医療サービスの対価として支払われるものです。今回の改定では原則、初診料は30円~730円、再診時は20円~120円増となります。入院時に支払う入院基本料は、病棟の種類に応じて1日あたり50円~1,040円引き上げられ、さらに多くの医療機関では、看護師や看護助手ら職員の賃上げを目的とした「加算」が付き、料金に上乗せされます。

診療報酬の改定では初診料は2,880円から30円増えて2,910円に、また病床のない診療所が看護師らの給与引き上げ(ベア)を行う場合は初診料に60円~70円が加算されることになりました。すなわち3割負担の患者さんの場合、初診時9円~219円増え、再診料は20円増の750円となりました。同様にベアが行われた際には、患者さん負担は6円~36円になります。病院などがベアを行う場合は入院基本料に最大1,650円が上乗せされることになりました。他には1日3食を限度に1食あたり640円の入院時食事代は、原材料費用の高騰などを踏まえて30円増の670円となりました。

他には「マイナ保険証」の利用促進や「医療DX」の促進に対しても加算され、医療DXの体制を整えている医療機関では、初診時に80円、歯科では60円、薬局では40円が上乗せされます。

今回の改定では、医師らの人件費などに充てる「本体部分」を0.88%のプラスとしました。増額分を原資として医療従事者の賃上げを令和6年度2.5%、7年度は2.0%増とすることを目指しています。

2,024年の診療報酬の改定に対して、ある開業医の意見では①手続きの煩雑化:従来より多くの作業が必要で、負担の増加となっている。 ②報酬額の低下が起こることもある:一部の診療行為や診療科目の報酬額が削減されたり、縮小されたケースがあるため ③評価基準が不明瞭 ④医療提供の制約:医療提供や診療の範囲が制約される可能性があるという懸念がある。

開業医さんからはこんな意見が示されています。今回の改定が医療者にとっても患者さんにとってもよい方向に改定が向かうことを祈ります。

参考情報 6月19日現在

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0001210262_00054.html