2025年5月8日、東京都内にて「介護現場で働く人々と家族の暮らしを守る緊急集会」が開催され、日本理学療法士連盟の会長代行の友清が出席いたしました。
本集会は、長引く人手不足や物価高騰により厳しさを増す介護現場の実態を踏まえ、「介護で働くあらゆる職員に対する十分な賃上げ」を訴えるために開催されたものです。
全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は、令和6年度の介護事業における収支状況を報告し、施設系の33%、在宅系の46%が赤字経営に陥っている実態を明らかにしました。また、介護職員の賃金が全産業平均と大きく乖離していることにより、人材確保が困難となり、他産業への流出も進んでいると指摘。介護サービスの提供そのものが危機に瀕していると強く訴えました。
さらに、現場からは、訪問介護に従事する職員が登壇。終末期ケアなど、より高度な専門性が求められる中、前回の介護報酬改定において訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに対し、「自分たちの仕事が否定されたように感じた。非常に悲しい思いだった」と語り、切実な状況を訴えました。
また、現在の「介護職員処遇改善加算」についても課題が指摘されました。加算の対象が原則として介護職員に限定されており、ケアマネジャー、訪問看護の看護職、リハビリ専門職などには適用されていない現状があります。形式的には他職種にも適用可能とされていますが、算定根拠となる介護職員数に基づいて報酬が配分されるため、他職種に適用すればその分だけ介護職員分の加算が目減りしてしまうという問題があることも明らかにされました。すべての職種がチームで支える介護現場において、特定の職種のみに処遇改善が限定されることの弊害が強く訴えられ、介護現場で働くすべての職員に対する公平な賃上げの必要性が提起されました。
本集会は、介護関係団体16団体および政治連盟9団体が共同で開催。介護の現場で奮闘するすべての職員に対し、処遇改善と抜本的な賃上げを求める強いメッセージが発信されました。
日本理学療法士連盟は、今後も介護・福祉分野における理学療法士の働く環境の改善と、国民の暮らしを支える介護基盤の強化に向けて、関係団体との連携を深め、政策実現に取り組んでまいります。
