「【開催報告】10年後、理学療法士はどこで活躍しているのか―予防医療時代に求められるPTの未来と政策―」

2026年9月27日、第77回北海道理学療法士学術大会において、 北海道理学療法士連盟主催の特別セミナー 「10年後、理学療法士はどこで活躍しているのか ~予防医療時代に求められるPTの未来と政策~」 を開催いたしました。

今回の特別セミナーでは、 「政策」「地域・予防」「産業保健・健康経営」 という3つの視点から、これからの理学療法士の役割について考えました。

病院や介護施設の中だけではなく、 地域、予防、働く世代、そして社会全体へ。

理学療法士の専門性を、これからどのように社会へ広げていくのか。 そして、一部の先進的な取り組みだけではなく、 社会の仕組みとして定着させていくためには何が必要なのか。

これからの10年を考える、大変意義深い時間となりました。

「攻めの予防医療」が始まる中で、理学療法士は何ができるのか

2026年7月、厚生労働省は 「U.E.N.O.Plan~攻めの予防医療厚生労働省関係施策~」 を公表しました。

国民一人ひとりが自身の健康を「自分ごと」として捉え、 主体的に健康づくりへ取り組むことを促すとともに、 必要な領域では行政や保険者などによる能動的な働きかけを強化していく考え方です。

「攻めの予防医療」6つの重点領域

栄養・食生活 / がん・循環器病等 / 歯科保健 / 認知症 / リハビリテーション / 性差に由来するヘルスケア

その中で、「リハビリテーション」も重点領域の一つとして 明確に位置づけられています。

これまで理学療法士は、 病気やけがをした方、要介護状態となった方への リハビリテーションを中心に専門性を発揮してきました。

一方でこれからは、 身体機能や生活機能の変化をより早い段階で捉え、 疾病や要介護状態に至る前から支援していく視点も、 ますます重要になっていくと考えられます。

① 政策の視点

田中 昌史 氏

衆議院議員・厚生労働大臣政務官

政策の視点からは、 理学療法士でもある田中昌史氏より、 現在のリハビリテーション政策や予防・健康増進施策を踏まえ、 理学療法士に今後どのような役割が求められていくのかについて お話しいただきました。

田中氏は2026年9月18日に厚生労働大臣政務官に就任しており、 国の政策と理学療法士の専門性をどのようにつないでいくのかという観点から、 今後を考える機会となりました。

② 地域・予防の視点

成田 悟志 氏

リハビリジム プライズネス

地域・予防の視点からは、 医療機関を退院した後も地域で生活を続ける方への支援や、 地域住民を対象とした身体機能評価、健康増進、介護予防などの実践を紹介しました。

「病院を退院したらリハビリテーションが終わる」のではなく、 地域で生活を続ける中で身体機能を定期的に確認し、 必要な運動や支援につなげていく。

理学療法士が地域の中で、 身体機能低下を早期に発見し、健康を守る役割 を担う可能性について提示しました。

③ 産業保健・健康経営の視点

坂口 太一 氏

公益財団法人 北海道労働保健管理協会

産業保健・健康経営の視点からは、 働く世代への健康支援や身体機能評価などの取り組みについて紹介いただきました。

腰痛や肩こりなどの運動器の問題、 加齢に伴う身体機能の変化、 健康保持・増進など、 働く世代に対しても理学療法士の専門性を活用できる場面は数多くあります。

医療・介護領域だけではなく、 企業や職場という新たなフィールドで理学療法士がどのような役割を担えるのか を考える機会となりました。

3名による座談会

後半には3名による座談会を行いました。

テーマとなったのは、

理学療法士の新たな活動を
「社会の仕組み」として広げていくためには、何が必要なのか。

現場で新しい取り組みが生まれていても、 それだけでは社会全体へ広がっていきません。

人材を育成すること。 実践する場所をつくること。 地域や企業とつながること。 そして、その活動を継続できる制度や仕組みにつなげていくこと。

「現場」と「政策」をどのようにつないでいくのか。

それぞれの立場から意見を交わしながら、 10年後の理学療法士の職域と社会的役割について考えました。

理学療法士の専門性を、もっと社会へ

理学療法士には、 「身体を動かす」「歩く」「生活する」という、 人が生きていくうえで欠かすことのできない部分を支える専門性があります。

その専門性を、病院や介護施設の中だけで終わらせるのではなく、 地域、学校、スポーツ、企業、健康づくり、介護予防など、 さまざまな場所へ広げていく。

その結果として、 理学療法士の職域が広がるだけではなく、 道民の皆さまが、より長く、より健康に、 自分らしい生活を続けられる社会につながっていくことが重要です。

北海道理学療法士連盟では、 今後も理学療法士の専門性を社会へ届けるための活動を進めてまいります。

ご参加ありがとうございました

ご参加いただきました皆さま、 ご登壇いただきました皆さま、 そして開催にご協力いただきました 第77回北海道理学療法士学術大会関係者の皆さまに、 心より御礼申し上げます。

北海道理学療法士連盟はこれからも、 理学療法士の未来と、北海道に暮らす皆さまの健康のために活動してまいります。

開催概要

日時:2026年9月27日(日)11:00~12:00

会場:第77回北海道理学療法士学術大会 第1会場「ヲタル座」

テーマ:10年後、理学療法士はどこで活躍しているのか ~予防医療時代に求められるPTの未来と政策~

主催:北海道理学療法士連盟

参考:

・厚生労働省 「U.E.N.O.Plan~攻めの予防医療厚生労働省関係施策~ Understand, Exercise, Nourish and Optimize for Better Health」

・公益社団法人 北海道理学療法士会 「第77回北海道理学療法士学術大会」