コラム

『日本の未来を考える勉強会』

自民党の若手有志議員が,消費税率をゼロにすることを盛り込んだ提言を西村康稔経済再生担当大臣に手渡した。この提言の特徴は,令和2(2020)年度に30兆円規模の補正予算編成を要望している点と,躊躇なく国債発行を要望している点であろう。加えて,政府の基本方針である「プライマリーバランス(PB)黒字化目標」の延期を求めている。これまでの政府および自民党の方針に異を唱えた内容と言える。

この提言は,衆議院・参議院を合わせて45名の国会議員の賛同を得た。有志の中心は,安藤裕衆議院議員である。安藤議員は,議員連盟「日本の未来を考える勉強会」(以下,勉強会)の会長も務めている。勉強会は,当初は平成29(2017)年4月に安藤裕議員が代表呼びかけ人になり立ち上げた私的な勉強会であった。勉強会は,昨年末に政策実現力を高めるために議員連盟に変更され,反緊縮財政を訴える政治勢力の1つが誕生したと言えるだろう。

しかし,反緊縮を訴える勢力は自民党内では少数派である。勉強会は,立ち上げ当初からPB黒字化目標の撤回を掲げてきた。PB黒字化目標の撤廃に基づけば,消費税増税の凍結,デフレ脱却のための継続的な政府支出の拡大が導き出される。同様の主張は,自民党の西田昌司参議院議員などからも聞かれる。一方,野党では,山本太郎前参議院議員が代表を務めるれいわ新撰組や,玉木雄一郎衆議院議員が代表を務める国民民主党からも聞かれる。20年以上続いている緊縮的な財政方針への反旗を翻す勢力が少しずつ拡大していると言えるかも知れない。

一方で,勉強会の活動は政府与党のガス抜きだと評されることもある。勉強会および反緊縮勢力は,少数派である上に,政治的権限は自民党執行部や内閣への集中が進んでいる状況である。すぐに政策が実現されることは難しいのは間違いないであろうが,こういった政治勢力や政策の存在が周知され,浸透することが重要であろう。紙面の都合により,URLを省かざるを得ないが,提言を一度読んでいただけたらと思う。一読して「どこにそんなお金があるんだね?」とか「財源はどうするんだ,財源は?」と思う方もいるだろう。そんな時は,YouTubeを検索し,ぜひ勉強会の動画を観てもらいたいと願う。(五)

「幹事のつぶやき」は広島県理学療法士連盟の幹事が,政治に関する解説,時事批評,エッセイ,書評などを気ままにお届けするものです。是非,感想をお寄せください(hiroshima-info@pt-renmei.info)。なお,本コラムは個人の見解であり,広島県理学療法士連盟の見解ではありません。(広島県理学療法士連盟情報発信・令和2年3月25日・第215号)

 

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