自費リハビリの可能性について

NPO法人・医療ガバナンス研究所 理事長 上昌 広 氏は、2017年5月19日の自信のブログで以下のように語っています。

「リハビリ難民」という言葉が聞かれるようになって久しい。多くの国民が怪我をしたり、脳卒中になっても十分なリハビリを受けることが出来ない。現在、この問題を解決すべく、現場では試行錯誤が続いている。その一つが、完全自費のリハビリサービスだ。(この「上昌 弘」氏は株式会社ワイズの社外取締役を務めておられる)

厚労省は、2006年にリハビリを最大180日に制限した。2008年10月からは入院後6ヶ月に退院する患者が6割を下回る病院への診療報酬が大幅に引き下げた。この結果、重症患者の受け入れを断る病院が増えた。来年に予定されている診療報酬改定では、月に13単位(1単位は20分)を上限として認められている外来でのリハビリが廃止される。このままでは、十分なリハビリを受けることが出来ない「リハビリ難民」が続出する。

どうすればいいのだろうか。現在の保険財政を鑑みれば、リハビリの保険給付が増えるとは考えにくい。このようなニーズに対応しようとしているのが自費リハビリだ。最近、この業界が急成長しつつある。

知人のリハビリ専門医は「若年患者を中心に維持期の集中的なリハビリのニーズは以前から感じていました。診療報酬上での制約がある病院でのリハビリは、徹底して患者に寄りそうことができず、どこかお茶を濁しているような気がしていました。民間企業の参入は、このような患者にリハビリの機会を提供する事になるかもしれません」と言う。

我々の今後の社会の流れに、以下に乗っていくかが大切になってきます。そしてこの後自費リハビリをン受けた患者さんについて以下の様な考えを述べておられます。

ここに一人の患者さんが、自費リハビリの恩恵を受けた。では、自費リハビリの売りとはなんだろう。それは、健康保険の縛りがないため、患者のニーズにあわせて、メニューを微調整できることだ。リハビリ期間を延長することも可能だ。

ワイズで働く理学療法士は「自費リハビリは真剣勝負です。効果がなければ、患者さんは来なくなります。健康保険から費用が支払われる病院と違い、患者さんから費用を頂く自費リハビリでは、理学療法士には大きなプレッシャーがかかります」という。おそらく、このような緊張関係が治療成績の底上げに貢献しているのだろう。

では、どんな患者が自費リハビリを利用するのだろうか。比較的若年の患者が多いのが特徴だ。例えば、ワイズの利用者の73%は60代以下である。脳卒中患者の約6割が70代以上であることと対照的だ。高齢患者は現状の機能を維持することを目標とするのに対し、若年患者は機能を回復し、職場に復帰することを望む。必要とするリハビリは違う。従来の医療保険では、このようなニーズに対応できていなかった。民間企業が試行錯誤することで、多様なサービスの開発が進みつつある。

では、このような自費リハビリの成長を、厚労省はどう考えているのだろうか。

知人の厚労官僚は「診療報酬を抑制し続けなければならない昨今、自費リハビリは厚労省にとっても有り難い」と言い切る。今後、リハビリ難民が増えた際の批判を逸らすために、応援しているといっていい。

また厚労官僚は「事故が起こり、メディアが大きく報じれば、厚労省も規制せざるを得なくなります」という。そうなれば、医療機関と連携しているところなど一部を除き、自費リハビリ施設は閉鎖となる。リハビリ難民が溢れ、寝たきりの高齢者が増加する。そんな状況は誰も希望しない。

わが国でリハビリの需要は急増する。ところが、リハビリの提供体制は脆弱だ。どうすれば、リハビリを受けることができるか、お上頼みではなく、社会で議論し、新しい仕組みを作っていかなければならない。自費リハビリは、その一例である。

このことで大切なことは、社会では一部で「自費リハビリ」が容認され、我々の職域が逆に小さくなりはしないかと心配します。京都府理学療法士会の会員の皆さんは如何に考えられますか。

京都府理学療法士連盟

会長 並河 茂